ハードテックスタートアップのCTOであるクライアントは、これまで数多くのノートアプリを試してきたものの、フォルダやタグ、タイトルの整理が追いつかず、すぐに情報構造が破綻してしまうという課題を抱えていた。最終的に行き着いたのは「Slackで自分自身にメッセージを送る」という無理のある解決策だった。
いわゆる「Second brain」と呼ばれる領域において、整理のための仕組みがかえって思考の記録そのものを妨げているのではないか。この問いを出発点に、n=1の課題を起点とし、最速でグローバルに検証・リリースすることを目的としたプロダクト開発が進められた。

Prototyping
まずは、n=1のワークフロー改善をゴールに据えてプロトタイプ開発に着手した。深掘りすると、Slackはノートを「放り込む場所」として使われている一方で、実際の初期のノート作成はVSCodeで複数タブを開いて行われていることが分かった。
このインサイトをもとに、Tabベースの"Draft"とTimelineベースの"Archive"を組み合わせでプロダクトを設計した。また、入力中のテキストに応じて関連ノートを表示する「Related notes」を実装し、思考を止めずに過去の情報へアクセスできる体験を目指した。

Problem interview
n=1の検証を踏まえ、次に同様の課題が他にも存在するかを確かめるため、Redditで対象ユーザーにリーチし、5名へのインタビューを実施した。
時間軸のUIと検索の組み合わせは、Slackなどで慣れ親しんだワークフローとして受け入れられやすく、またデスクトップアプリは会社PCへのインストール制限により利用を断念するケースが多いことが分かった。さらに「Related notes」はデモ段階でも強い関心を引き、コア機能としての可能性が示唆された。

Minimal launch
Redditで興味関心の近いsubredditを選定し、複数チャネルでスモールローンチを実施した。その結果、r/notetakingでは30K viewsと大きな反響があり、一定の流入を獲得した。
一方で、初期のリテンションは低く、早期離脱が多いことが判明したため、その原因の特定に取り組んだ。

Usability test
再度5名をリクルートし、画面共有をしてもらいながらユーザビリティテストを実施した。初見でプロダクトに触れてもらった結果、多くのユーザーがDraftとArchiveの構造に戸惑うことが分かった。
また、反応速度の遅さによって操作が引っかかり、体験全体にフラストレーションが生じていることも明らかになった。

Pivot
大幅なUI変更を伴うピボットに着手し、タイムラインを主軸に据えた、よりSlackに近いUIへと設計を見直した。同時に、Note保存時の反応速度を約2倍に改善した。現在も実験と改善は続いている。

“Forgeは単なる開発パートナーではなく、仮説検証からプロダクトの方向性まで一緒に考えてくれる存在でした。短期間でプロトタイプからリリースまで進めながら、ユーザーインタビューやテストを通じて本質的な課題を捉え、必要なタイミングで大胆にピボットできたのは大きな価値でした。結果として、自分たちが毎日使い続けるプロダクトに仕上がりました。
”